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私の家が「肺」になった話

2026.03.07(Sat)

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目次

  1. 家は呼吸する有機体。
  2. 不器用なノイズの中に、実在を見出す

2025年の秋。
記録的に暑い夏が、ようやく背中を向け始めた10月のことだったと思います。
その日は秋晴れの気持ちいい陽気で、朝から家中の窓を開けて過ごしていました。

休日だったこともあり、私はリビングでふわふわ考え事をしながら、0歳の娘をあやしていました。

「アーアー」娘は何か言葉を懸命に話してる。

床に散乱しているおもちゃたち。

キッチンに重ねられた使った食器。

部屋の隅にうっすらと見える埃(ホコリ)。

”シャラシャラ”ブラインドを揺らしながら秋の風が入ってくる。

肌をなでるような心地よい風の温度。

風にのってきた微かな秋の匂い。

その瞬間時間がスローになり、

部屋中が何かわからないキラキラしたものに満たされていました。

お腹の底からじんわり幸福感が湧き上がってきたのを覚えています。

詩人でもない私が長々と抽象的な話をしても退屈だと思いますので簡潔に話しますね。

秋晴れの気持ち良い日にリビングに入ってきた風によって幸せを感じたのです。

家は呼吸する有機体。

自然の中で風を気持ちよく感じることはあります。
ただ自邸で感じた”それ”は少し違う感動があるように感じました。

そんな体験から半年過ぎた先日、フランスの哲学者、ガストン・バシュラールの言葉に出会いました。彼いわく、

「家は、外の広がりを吸い込み、内の静けさを吐き出す、一つの肺であるべきだ。」
ガストン・バシュラール(『空間の詩学』より着想)
この言葉に触れたとき、半年前の”あの”体験を思い出しました。
”あの”瞬間、私の家は間違いなく肺になり、
ただの箱ではない「呼吸する有機体」のとして家を感じていたです。

なんだかまた抽象的な話になってきましたね。
退屈になる前に簡潔に話しますと、

家に入ってきた風を感じた瞬間、私は家をただの箱ではない、呼吸する生き物のように感じ、その圧倒的な安心感に包まれる体験を幸福とを感じた。

半年前”あの”経験をうまく理解にできずにいましたが、
ガストン・バシュラールのおかげで、半年後にタイムカプセルをあけるように理解にすることができました。

不器用なノイズの中に、実在を見出す

家が呼吸するということは、
外の美しさだけでなく、
内の生々しい生活の痕跡をも受け入れるということなんだと思います。

散らかったおもちゃ、
キッチンの使った食器たち、
部屋の隅の埃(ホコリ)、

それらはこの場所で私たちが「生きている」ことの確かな実在なんだと思います。

不都合で、生々しい日常を、愛おしさと共に飲み込んでいくこと。
「幸福」の正体は、きっとそんな泥臭い実感の中にあります。

「生きるための建築」

私が建築をつくる上で大切にしている理念ですが、
この体験で「生きるための建築」にまた少し近づけたように感じます。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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